2019年4月、日本列島が新元号発表に沸く中、中国吉林省延辺朝鮮族自治州に位置するここ延辺大学に於いても創立70周年が祝われました。
朝鮮半島の付け根、極東アジアの中心にて延辺朝鮮族自治州が独特な発展を遂げてきました。朝鮮とロシアに接しており(図們市の中-朝国境、琿春市の中-朝露国境)、中国の十大名山長白山観光客も多く訪れるまさに国際都市です。朝鮮族自治州の名の通り、中国語と朝鮮語(韓国語)のバイリンガルである中国朝鮮族の人々のホームタウンです。彼らの国籍は中国で、以前朝鮮半島からの移民した者の後代です。延辺朝鮮族自治州では中朝2言語表記が義務付けられており、看板は全て中国語と朝鮮語です。琿春まで行けばロシア語表記も見受けられます。彼らの朝鮮民族特色が深い大学として名高い延辺大学では多言語環境に恵まれており、中国語と(朝鮮語)韓国語を同時に習得することができます。
私は延辺大学に留学して三年半になります。日本の大学で中国語と韓国語を勉強し始め、三年次に言語研修生として一年間中国語を勉強しました。延辺に来る前は初中級レベル(HSK3級、TOPIK3級)でしたが、留学1年半後にHSK6級とTOPIK6級を取得することができました。中国語を学ぶ一年だけでは物足りず、人文科学学院社会学科三年次に編入しました。卒業後現在は民族学の修士課程にて勉学に励んでいます。言語環境はもとより、少数民族や移民研究、コリアンディアスポラなどを総合的に勉強するにはもってこいの環境です。その他にもたくさんの学科専門課程がある総合大学です。延辺大学で行われる学会では周辺諸国の学者たちが一堂に集います。
延辺は美食で有名な街です。食べることには困りません。美食家をうならせるあらゆる中華料理や韓国料理、おしゃれでハイセンスなカフェやネオンきらめくバーが軒を連ねる激戦区です。25元(350円ほど)であたたかく栄養満点のお弁当をお腹いっぱい食べることができます。国境地帯ですが治安は比較的安全で、眠らない街です。他の外国人と比べ日本人は珍しがられますが、延辺では日本語堪能な人が多く、街で日本語で話しかけられることもしばしばです。延吉市内の街の大きさも日本人にとってちょうどいいかと思います。延吉空港は国際空港で関西空港との直行便や韓国ソウルの便、ロシアウラジボストク便、朝鮮ピョンヤン、上海と北京を結ぶ便も豊富にあります。大きな駅が二つ、百貨店が三つとなにかあればどこに向かえばいいのかわかりやすく不便を感じさせません。
中国にあって韓国文化やロシア文化を感じられる異国情緒漂う街で、多言語習得に励んでみませんか。国際都市にて民族について、アイデンティティについて考えてみませんか。めまぐるしい発展と国際情勢の変化により延辺にスポットライトが当たる日もすぐそこまで来ています。まだ見ぬあなたと延辺との架け橋になれますように。この街を大学を愛してやまない日本人留学生より。
留学生 七野帆乃美 2019年4月